梅雨も明けた7月の前半、八坂大神へ参拝に行ってきました。
八坂大神は、神職の方がいないため、あまり話題になることも無い神社ですが800年以上の歴史を持っています。
夏の八坂大神の様子と由緒・歴史について写真を添えて紹介します。
八坂大神の境内の様子
八坂大神は、今小路と呼ばれる鎌倉駅西口側の通りにある神社です。
扇ヶ谷踏切と呼ばれる小さな踏切の近くにあります。
夏だと木々が茂り暑いアスファルトの上から少し開放される場所になっています。
鳥居の前には小さな橋がかけられています。
すぐ近くには鎌倉十橋にもなっていた「勝ノ橋」があった場所のすぐ近くです。
鳥居を抜けると5段程度の短い階段があり、2つのうねりまくた木(タブの木)の下に石灯籠が建っています。
隣にある建物は「八坂大神 社務所」とはなっていますが、基本的に無人で、時折町内会の人が利用しているくらいです。
階段を上り先に進みます。
タイワンリスが現れる八坂大神
階段を上って木の下あたりにいると、うめき声のような動物の鳴き声が…
この鳴き声はタイワンリス!
と思って見回すと、いました!タイワンリス
鎌倉は至るところにタイワンリスが出没しますが、八坂大神でも出没することがあります。
タイワンリス、一見かわいいですが、絶対に餌などはあげないようにしてください。
タイワンリスの増殖に伴い、元々いたニホンリスが鎌倉から居なくなりました。
古都鎌倉でよく見かける可愛い動物が、外来生物というのも皮肉なものです。
八坂大神の狛犬様
少し先に進むと手水鉢があります。その奥には4段の階段があり左右に狛犬様が鎮座しています。
ただ蓋が閉められ使えないようになっていました。
狛犬様は参拝者ではなく、もう少し遠くを見ている様子
尾が立っている狛犬様が多いですが、ダランと下についている狛犬様は見たことが無いので、少し貴重な存在かも。
八坂大神の境内社・子神社
手水鉢の奥にお社が見えます。境内社の子神社(ねのじんじゃ)です。
由緒等はわかりませんが、子神社は横浜市等で見られる神社で、御祭神は大国主命です。
子神社の子は「こども」を意味するのではなく、大国主命の遣いであるネズミを意味しています。
八坂大神の拝殿
短い階段を上り拝殿へ
拝殿に近づく前に拝殿の屋根を見てください。
屋根の上に 唐獅子の鐙瓦が置かれています。
鬼瓦は九曜と呼ばれる家紋になっていました。
九曜の家紋を使っていた家系は多いですが、相馬家の家紋にもなっているため、八坂大神を創祀したとされる相馬次郎師常に因んでつけられたものと思われます。
賽銭箱は置かれていません。
拝殿の前にある手水鉢のようなところにお金が置かれていました。
二拝二拍手一拝をして参拝してきました。
八坂大神の石碑
八坂大神には目立つ石碑が3つあります。
元神輿之碑
元神輿之碑は、関東大震災で壊れたしまった鉄製の神輿の供養碑に思われます。
かまくら子ども風土記には下記のように書かれています。
昔、神輿は京都の八坂神社の神輿をまねた鉄製六角形のもので、神社を出ると、荒々しく血 を見ないでは納まらないというものでした。そこで神輿を師常の墓の近くにうずめ、木製のものを造りましたが、 関東大震災で壊れたので、 1927年 (昭和2年)に今のものが造られました。祭りの初めの日に、氏子は由比ヶ浜で身を清め、 カジメという海草をとってきて、鳥居や神霊を安置した「お仮屋」に飾る慣わしがあります。
かまくら子ども風土記 108ページより
京都の八坂神社は非常に有名な神社であり、その八坂神社の神輿を真似て作った神輿が壊れてしまったことで供養の意味を込めて作られたものと推測出来ます。
記念碑
一見古そうに見える記念日ですが、昭和59年(1984年)に建てられたもので、それほど古い訳ではありません。
銭洗弁財天宇賀福神社・巽神社、そして八坂大神の3社の発展を願って建てられたようです。
皇紀2600年記念碑
皇紀は、日本書紀に記された神武天皇即位の年を元年として定められた紀元です。元号だと天皇の崩御等に伴い変化しますが、皇紀は変化せず、ずっと続くものなので、西暦と同じように使えますが、現在の日本ではほぼ使われていません。
皇紀元年は西暦紀元前六六〇年にあたるので、1940年(昭和15年)に神武天皇即位2600年を祝った行事の1つとして作られた記念碑です。
時折、いろいろな神社の片隅で同じような記念日を見つけることがあります。
八坂大神の由緒や歴史に関すること
銭洗弁財天宇賀福神社が末社だった
八坂大神について調べると、銭洗弁財天宇賀福神社は元々、八坂大神の末社だったということがわかります。
ただ不思議なのが、八坂大神の創祀は1192年で、創祀したのは源頼朝から厚い信頼を得ていたとされる相馬次郎師常です。
一方の銭洗弁財天宇賀福神社は、言い伝えでは1185年に源頼朝の命に作られた神社です。
つまり関係性で言えば、源頼朝>相馬次郎師常 であり、銭洗弁財天宇賀福神社>八坂大神 です。
それがいつのまに銭洗弁財天宇賀福神社が八坂大神の末社になったのか非常に不思議です。
相馬次郎師常と言えば相馬神社
相馬次郎師常と神社と言えば、相馬神社(福島県)を想像する方も多いのではないでしょうか?
相馬次郎師常は、相馬神社の御祭神にもなっています。
相馬神社は1880年創建と歴史的にはそれほど古い訳では無いものの、創祀した人が別の神社では御祭神になっているというのは面白い話だと思いませんか?
相馬天王と呼ばれた八坂大神
八坂大神は元々は、相馬天王と呼ばれた神仏習合の寺社でしたが、明治時代の神仏分離にともない、八坂大神と改称しています。
八坂大神へ行こう
八坂大神は鶴岡八幡宮から少し変わった経路で鎌倉駅に戻る時に通りますが、あまり日陰が無いところなので、木陰で休める八坂大神は休憩するのにも良い場所です。
また鶴岡八幡宮から銭洗弁財天宇賀福神社に向かう途中にも通ります。銭洗弁財天宇賀福神社に向かう前に八坂大神に立ち寄ってみても面白いのではないでしょうか?
運がよければタイワンリスも見られるかもしれませんよ。
以上、夏の八坂大神の参拝レポートでした。
- 住所:〒248-0011 神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-13-45
- TEL:046-822-0208(横須賀市 諏訪神社)
- 御朱印:なし
- 参拝可能時間:24時間
- 社務所受付時間:社務所なし
鎌倉の代表的な神社