鎌倉の神社をほぼすべて参拝しましたが(鎌倉の神社 一覧)、キャッシュレス対応している神社は1社もありませんでした(通販除く)。
全国的にもまだ数社しか無い神社のキャッシュレス決済、今後拡大するのか、それとも拡大しないのか、神社のキャッシュレス決済について思うところを書いていきます。
キャッシュレス決済を行っている神社
現在、キャッシュレス決済を行っている神社はいくつかあります。
- 東京・愛宕神社(2014年から導入)
- 京都・下鴨神社(2019年から導入)
- 栃木・日光二荒山神社
- 千葉県・稲毛浅間神社
- 茨城:鹿島神宮(一部クレジットカード払いが可能)
探せば他にもあるかもしれません。
鎌倉市内で言えば、龍口明神社が境内では行っていないものの御守等のネット通販を行っており、キャッシュレスで御守等が購入出来るようにはなっています。
神社でキャッスレス化が進まない理由
神社でキャッシュレス化が進まない理由は4つあると言われています。
- 心情的な問題(現金であるべき)があるため
- 収益行為と見做され宗教法人としての非課税対象として外される可能性があるため
- 思想の自由が脅かされる可能性があるため
- キャッシュレス決済の多くが寄付行為を禁止しているため
心情的な問題(現金であるべき)があるため
お賽銭や初穂料は現金であるべき!という心情的な部分がまだまだ多く、神社のキャッシュレス化を遅らせているでしょう。
キャッシュレス化をすることで、クレジットカード会社やキャッシュレスサービスを展開している会社が儲かるのが心情的に嫌だという考え方もありそうです。
実際、クレジットカードや電子マネーを使うと手数料として1~7%程度の金額がクレジットカード会社や電子マネー運営会社に支払われることになります。
100円のお賽銭のうち、1~7円がカード会社・電子マネー運営会社に持っていかれると思うと、それなら現金で渡した方が神社にもメリットがあるよね?と。
ただ昔の神社へは現金ではなく、お米等の農作物、お酒で行っていた時代があったことを考えれば現金でなければいけないという理由も無いとは思うんですよね。
もちろん農作物やお酒ばかり持ってこられても寺社も困りますから、できれば現金にしてもらいたいと思うのは普通のことでしょう。
収益行為と見做され非課税対象として外される可能性があるため
宗教法人に登録されていることが多い神社ですが、宗教法人である神社やお寺へのお賽銭・お布施・初穂料は基本的には非課税です。
ただし、クレジットカードや電子マネー等のキャッシュレス化が進めば、収益行為と見做される可能性が高まるとして、反対している寺社もあるそうです。
何よりキャッシュレス化にするとお金の流れに透明性が出てくるため、非課税となっていない宗教団体(宗教法人にはなっていない)であれば嫌がる可能性もあります。
思想の自由が脅かされる可能性があるため
キャッシュレス化をすすめると、いつ誰がどこでお金を使ったのか把握することも難しくはありません。
そうなってくると誰がどのような宗教に寄付をしているか見えてきてしまう可能性が出てくるため、思想の自由が脅かされる可能性が出てきます。
「あのひと、怪しい宗教団体に○万円も寄付していたよ!」なんて、クレジットカード情報が漏洩した場合に知られてしまう可能性も0ではありません。
キャッシュレス決済の多くが寄付行為を禁止しているため
意外と知られてないのですが、キャッシュレス決済事業者の多くは寄付行為を禁止していることが多く、そもそもキャッシュレス決済を導入するハードルが非常に高いという問題があります。
お賽銭は寄付とも言えますが、初穂料やお布施は寄付なのか?という疑問も残ります。
また寄付ではなく労働の対価と考えてしまうと収益行為になってくる可能性もあります。
このあたりが非常にグレーなゾーンであるため「触らぬ神に祟りなし」という考えもあるかもしれません。
硬貨の有料回収問題で進む可能性のある神社のキャッシュレス化
ゆうちょ銀行が2022年1月17日から「硬貨取扱料金」を取ることが決まっています。
窓口で大量の硬貨を預け入れる時、これまでは無料でしたが、硬貨取扱料金が施行された後は51〜100枚には550円と、枚数に応じて手数料がかかるようになります。
50枚まではひき続き無料ですが、ATMの場合でも、硬貨1〜25枚の預け入れでは110円を求められる「ATM 硬貨預払料金」が新設されます。
既に「硬貨取扱料金」を徴収している銀行もありますし、今後はますます増えていくと言われています。
これが一番響くのが神社やお寺です。
お賽銭なんて、1~100円くらいの硬貨を入れる人が多いですし、おみくじも100~200円の現金というところが多いため、神社やお寺は日々、硬貨が増えていきます。
でも硬貨を銀行に預け入れると手数料が取られてしまいます。下手をすれば入金金額よりも多い手数料を。
実際に硬貨の預け入れで苦労をしている神社も出てきているそうです。
硬貨の預け入れが完全に有料化してしまうと、神社もキャッシュレス化を真剣に考えなければいけなくなるかもしれません。
でも、そのためには法整備や決済会社の規則の改定などが必要になってきます。
寺社でのキャッシュレス化、反対は3割
以前、ツイッターのアンケート機能を使って、寺社のキャッシュレス化についてどう思うかアンケートをとったことがあります。
193名の方に答えていただき結果は下記の通りとなりました(4択です)。
質問内容
神社・お寺のお賽銭や初穂料、お布施のキャッシュレス化についてどう思いますか?
- 現金であるべき:30.6%
- キャッシュレスがあってもいい:24.9%
- キャッシュレスにすべき:1.6%
- 気持ちがあればどちらでも:43%
それほど多くは無い193名のアンケート結果なので、また違う属性の方がアンケートを取れば異なる結果になるかもしれません。
しかし感覚的には3割ほどの方が「現金であるべき」と考えているのは、実際に則しているように思えます。
神社のキャッシュレス化に対する考え
キャッシュレス化の前に真剣に考えるべきことは神社の存続です。
このサイトを作るにあたって、いろいろな書籍を購入して読みましたが、書籍には掲載されているものの、無くなっている神社も既にいくつかありました。
また10年後には無くなっているだろうな…と思う神社も。
神社が無くなる理由にはいろいろとあります。
- 氏子さん・崇敬者の減少による運営難
- 後継者がいないという問題
- 宗教離れという問題
ただ元々神社というか神道においては自然信仰・祖霊信仰が一般的だった部分もあり、先人や自然に感謝をするという気持ちは持ち続けたいこともあり、神社という文化は残って欲しいと考えます。
神社という文化を残すという意味合いにおいてキャッシュレス化があっても管理人としてはいいと思っています。
クラウドファンディングで、維持費を賄うのも良いでしょう。
キャッシュレスか現金かではなく、神社という文化を残したいという気持ちの方が強く、そのためにどういうことが出来るのか?と考えるべき時代になってきているのではないでしょうか?
もちろん現金であるべきだ!という心情的な部分も理解はできます。
単純な答えを出すこと自体が難しい問題ですからね、それが宗教でもある訳で。
以上、神社のお賽銭や初穂料のキャッシュレス化についてでした。
鎌倉の代表的な神社