宗教には当然作法とマナーがあり、当然神社も宗教施設であり作法とマナーがあります。
神様は細かいことは気にしないから、作法やマナーよりも気持ちが大事という方もいますし、そう思う部分もあります。
しかし作法やマナーを守ることで気持ちも切り替えられる部分はあります。
神社に参拝に訪れるにあたって、知っておきたいマナーや作法、礼節を紹介します。
神社を参拝する時の服装
日常の参拝であれば、それほど服装は気にすることもありませんが、ご祈祷や特別なお願いをする時は、それなりの服装が必要です。
特に祈祷に関しては礼装をするように言われる神社もありますし、男性ならスーツにネクタイ、女性ならそれに準じた服装の方が良いでしょう。
スーツまでは必要としない神社が多いですが、せめて男性であれば襟付きのシャツ、女性であれば肌の露出が激しい服装は避けるべきです。
靴下やストッキングは必須
祈祷・お祓いを受ける場合、拝殿に上がることも多くなっています。
拝殿は基本的に靴を脱いであがりますが、その際に素足だと上がらせてもらえない神社が多くなっています。
だから祈祷・お祓いを受ける場合、靴下(女性であればストッキング)を履いていくようにしてください。
神社へ行く前に知っておくべきこと
神社に行く前に知っておいて欲しいことがあります。
ペットは連れて行かない
基本的に神社の境内には4本足の動物は入れてはいけません。
最近ではペットと一緒の参拝もOKにしている神社も増えていますが、注意書きが何も無い神社は基本的にはペットを境内に入れるのは禁止です(例外的に鎌倉市であれば注意書きは何もありませんが、鎌倉宮はペットとの参拝がOKです)。
鶴岡八幡宮や銭洗弁財天宇賀福神社はペットを連れての参拝は禁止されています。
*鶴岡八幡宮は東西の入口には禁止の看板がありますが実際には石段の直前までは連れて行っても良い事になっており、ルールを守っている人が損するようになっているのは、おかしなところですが。
銭洗弁財天宇賀福神社は、入口にきちんと犬は禁止と書かれています。
鎌倉市の中心である若宮大路には「下馬」という交差点がありますが、これは昔、馬で参拝に来た人がここで降りるところとされていた場所の1つです。
八幡宮の境内は馬の乗り入れが禁止されていた訳です(神事は除く)。
幕末にここで馬に乗っていた外国人が浪人に殺傷されるという事件が起こったそうです。
神社でペットを連れていることで注意をされた時に、神社の入口にペットを連れての参拝禁止という注意書きが無い!と文句をつける人もいるそうですが、神社の人にしてみれば、当然の作法・礼儀であり、わざわざ書くことでは無いと考えている人もいるそうです。
不浄・穢れを嫌う神社
神社(というより神職の方かも)は、基本的に不浄・穢れを嫌います。
不浄・穢れの定義は一般人には難しい部分もありますが、わかりやすいもので言えば「死」です。
例えば生前によく参拝していた神社へ、親族が亡くなった方の遺骨を持って参拝に行くということがあるかもしれませんが、いわゆる「死」の象徴である遺骨は持ち込まれたくないそうです。
神道式のお葬式もありますが、神道式のお葬式(神葬祭)を行う神社は非常に少なく限られています。
遺骨やペットの死骸など神社には持ち込まないようにしましょう。
なお管理人が知る限り、鎌倉市内で神葬祭が行える神社はありません。神葬祭対応の葬儀場はいくつかあり、神職の方が出張神事として来てくれるということは普通にあります。
鳥居・神門の前では一礼をしてからくぐる
神社の鳥居は、一般の世界と神社という神域を区切る役割があり、結界のような意味があると言われています。
つまり鳥居をくぐるということは、これから神様の世界・神域へと入ることになります。
神聖な場所に入る訳なので、神様に「失礼します」という気持ちを持って一礼をしてから入るようにしましょう。
また出る時も「失礼しました」という気持ちを持って一礼してから出るようにしましょう。
この時、振り返って社殿の方を向いて一礼するようにしてください。
鎌倉で鶴岡八幡宮と荏柄天神社くらいしか門(神門)のある神社はありませんが、門の前でも一礼をするようにしてください。
参道の歩き方・真ん中は歩かない
最近は年配の方でも知らない人が増えましたが、参道の真ん中は本来、歩かないようにすべき場所です。
参道の中央のことを神様が通る道という意味で「正中(せいちゅう)」と言います。
正中は神様が通る場所であり、そこを人間が塞ぐというのは非常に失礼な行為であり、参道の端を歩くのが本来の作法です。
どうしても参道を横切らないといけない時もありますが、その時は軽くで良いので一礼して、通らせて下さい、という気持ちで通るようにしましょう。
また参道が狭くて真ん中しか通れない神社もあります。そういう時は致し方ないのですが、失礼します、という気持ちは持っておきましょう。
狛犬様やお稲荷様の前では一礼(一揖)をする
神社と言えば狛犬様を見るのが好きな方もいますよね。
狛犬様は神様のお使いであり、霊獣であり、神域に邪気が入るのを防いでくれているとされています。
神社によってはお狐様だったり他の動物の場合もありますが、日々神社を守ってくれていることに違いはありません。
だからこそ、いつも神社を守ってくれることを感謝し、一礼とは言わないまでも一揖(いちゆう:軽くおじぎをすること、会釈)をしてから前を通るようにしましょう。
手水の作法・マナー
神社によっては手水舎・手水と呼ばれる手や口を清めるところがあります。
神社によっては手水の使い方・作法を図解してくれているところもありますが、丁寧に説明すると下記の通りです。
- 手水舎の前で軽く一礼をする
- 後で手や口を拭くためにハンカチを取りやすいところに持つ
- 柄杓を右手で持ち水をくみ、左手をすすぐ
- 柄杓を持ち替えて、右手をすすぐ
- 再び柄杓を持ち替えて、左手の手のひらに水をそそぎ水をため、たまった左手の水で口をそそぐ
- もう1度左手をそそぐ
- 最後に両手で柄杓をもって柄杓を立てながら残った水で柄杓の柄を清めて柄杓を戻す
- 手水舎を去る前にもう1度軽く一礼をして立ち去る
2020年以降は感染症対策でほとんどの神社で柄杓が置かれなくなったり、手水が使えなくなりましたが、本来の使い方も覚えておきましょう。
なお東北地方や北海道では冬場は手水が使えないため(凍結するため)、違う作法が存在する場合があります。
札幌にある西野神社では、祓串を使って「祓いの作法」を行うことで冬場は手水の代わりとしています。
西野神社は芸能人も来ることがある縁結び・子宝祈願・安産祈願で人気の神社です。
拝礼の作法
いよいよ拝殿前の拝礼の作法です。
ここで帽子を被っている場合は帽子を外します。帽子を被ったままの拝礼は作法としてはおかしいものです。
拝礼の順番は下記の通りです。
拝礼の順番は
- 一揖をする
- お賽銭を入れる場合はお賽銭をお賽銭箱に入れる
- 鈴や鐘がある場合はそっと鳴らす
- 深く二拝(2度、礼)をする
- 胸の前で手を合わせ右手を少し引いて2回、手をたたく(二拍手)
- お願い事(祈願)をする時は2回たたいた時にそのまま手を合わせて行う(少し右手を引いたのを直して)
- 最後に深く一礼をする
- 拝殿の前を動く時に一揖する
正確には二拝二拍手一拝というよりは一揖二拝二拍手一拝一揖といった感じになります。
なお、お賽銭を投げ入れる方がいますが、そっと入れるのがマナーです。
なお、合掌(手を合わせていること)は本来の神道では無い作法ですが、時代の流れで普通に合掌をしたまま参拝をするのが普通になっていますが、二拝二拍手をした後に合掌しない状態も正しいマナーです。
神社での作法・マナーのQ&A
神社での参拝時に疑問に思うであろうことをQ&A形式でお答えしていきます。
神社で写真は撮っても良いの?
神社にもよりますが、基本的には撮影はOKです。
もちろん撮影禁止にしている神社であれば撮影そのものがNGですが、鎌倉市内の神社で境内すべてで撮影禁止にしているのは、御霊神社くらいです。
鶴岡八幡宮は本殿の門の中は撮影禁止になっていますが、それ以外は基本的には撮影OKとなっています(一部禁止になっているエリアがあります)。
神社と言えば初宮詣や七五三詣といったお子さんの成長を祝うことが多くなっていますし、結婚等の人生祭礼も多くある場所です。
それ故に記念撮影をしたいと思っている方も当然多くいます。
そういう場所で撮影禁止にしてしまうと、人気が無くなるのも事実です。
神社の方に話を聞いたことがあるのですが、子どもの写真を撮りたいと思う親御さんの気持ちはわかるので、撮影禁止にはしたくないということでしたが、一部のマナーの悪い人がいるため、撮影禁止を検討しているとのことでした。
マナーの悪い人というのは、撮影禁止のところで撮影したり、執拗に巫女さんを撮影したりする人のことです。
礼節を守っていれば多くの神社は撮影禁止にはしないと思うので、礼節をもって撮影するようにしてくださいね。
管理人は撮影したい人気の神社は出来るだけ早朝にいって、人が少ない時に撮影するように心がけています。
また鎌倉市内では三脚禁止にしている神社もあります。
ルールを守って撮影しましょう。
鶴岡八幡宮のぼんぼりで、すごく大きなフラッシュを炊いて撮影している人がいましたが、そういうのも迷惑なんですよね。
また無断でコスプレ写真を長時間場所を専有して撮影している人もいて、コスプレ撮影を禁止にした神社もあります。
他の人のことも考えて撮影はするようにしましょうね。
お賽銭の金額はいくらが良いの?
お賽銭はいくらが良いんだろう?と悩むこともあるでしょう。
ご縁があるように5円とか、きりの良い数字で100円とか1000円とか、考えることもあると思います。
実際にはご賽銭は気持ちの問題なので、金額は気にすることはありません。
その時に払える金額で大丈夫です。
またお金が無い時は、お金を入れなくても大丈夫です。神社に参拝して金運がよくなってお金が出来たら多めに入れれば良いだけです。
また必ずしもお金で無ければいけないという決まりもありません。
たまにお酒を置いていく人もいます。ただしカラスが多い地域では、食べ物は置いていかないように書いてあるところもあります。
境内でしてはいけない行動は?
境内でしてはいけない行動、振る舞いはいくつかあります。
一般的なことで言えば、下記のようなことが挙げられます。
- 大声で騒ぐ
- 参道を塞いでの長時間の撮影
- 喫煙や食べ歩き
- 参道に座り込んでの撮影
- 石段等の階段に座っての記念撮影
- 自転車やキックボードの乗入れ
- 長時間すぎる拝礼
あくまでも境内は神域であることを認識して節度ある行動を行うようにしましょう。
また拝礼で10分20分30分ずっと行っている人が稀にいますが、周りからすれば怖すぎる存在です。他の人のことを考えて拝礼は行いましょう。
サービスが悪い神社にはクレームを入れても良いの?
サービスが悪いと考えている時点でおかしいなことです。
神社はサービス業ではありません。
例えば社務所の受付時間が終了している夜に無理やり御朱印を書け!と言い寄る人もいたりするそうです。断るとサービスが悪いとか、こっちは客だぞ!とか、信じられないことを言う人がいるそうです。
確かに人としておかしな人が宮司を務めている神社もありますが、神社はサービス業ではなく、あくまでも宗教施設ですから、サービス面でクレームを言うのは問題外です。
神職の方は神に仕える立場であって、人に仕えている訳ではありません。
以上、神社参拝のマナーと作法 ・礼節についてでした。
鎌倉の代表的な神社