寺院に訪れる目的の1つに御朱印という方も多いですよね。
でも御朱印の意味と御朱印をいただく時の作法・マナーを知っていますか?
御朱印の意味と作法・マナーを説明していくので、御朱印の意味を知って、マナーを守って御朱印をいただくようにしましょう。
また日蓮宗系の寺院には御首題(御題目)という見た目は御朱印と似たものがあります。
御朱印や御首題について説明します。
寺院の御朱印について
寺院のおいては御朱印と言わず、御納経と言いますが、御朱印という言葉が一般化したことで、御朱印という寺院もあります。
元々は、お寺に写経を納めた時に信仰の証として「納経印」と呼ばれる印をもらうことでした。
半紙に朱で押印してもらうものだったので「御朱印」と呼ばれてきました。
時代が流れ、写経を納めなくても参拝の印としていただくようになっていきました。
そしてお寺で始まった御朱印ですが江戸時代になると神社でも行われるようになりました。もっとも江戸時代ですから、神仏習合でお寺と神社の区別は今ほどついていません。
今は、神社やお寺を参拝・お参りした証として、そして寺社とご縁で結ばれた証として押印・記帳してもらうようになりました。
つまり今の御朱印というのは、仏様や神様とご縁で結ばれた証と言えます。
決して訪れた証ではなく、スタンプラリーでもありません。
寺院で御朱印を書くのは誰?
寺院で御朱印を書くのは寺院によってかなり異なります。
どう違うと言えば下記の通りです。
- 住職しか書かない寺院
- お寺の家族が書く寺院
- 専門の書き手が書く寺院(アルバイト含む)
鎌倉で大きな寺院では、専門の書き手(パート)が書いていることも多々ありますし、習字のうまい高齢者に委託して書いてもらっていることもあります。
また御朱印をどこまで書くのかも寺院によって異なります。
- 御朱印を押すまでは誰でも良いとする寺院
- 文字入れは住職のみが行う寺院
- すべて住職のみが行う寺院
最近は書置きも増えていて、押印して寺院名などが既に書いてあり、日付のみアルバイトや住職の家族が書く寺院もあります。
某ウイルスが流行ってからは、日付は自分で書いてね、という寺院までありました。
寺院によって、誰がどこまで書くのかは、全く異なります。
寺院で御朱印をいただく前の準備・御朱印帳や納経代の用意
御朱印をいただく場合、基本的には御朱印帳が必要です。
御朱印の種類・寺院によっては専用の御朱印帳(納経帳)が必要な場合もあります。
また一部の御朱印に関しては御朱印帳ではなく、決まった用紙のみの場合もあります。関東で言えば「東国花の寺百ヶ寺」は、基本的には決まった用紙で渡されます。
専用御朱印帳で無くても大丈夫な御朱印でも、専用の御朱印帳を用意した方が良い場合もあります。
いただく御朱印の種類で、何が必要か変わるため、事前の準備が必要です。
また札所(霊場)巡りでの御朱印集めであれば、目的に応じて御朱印帳を用意することも必要です。
札所(霊場)巡りの御朱印集めなら、1冊の御朱印帳のみにした方が良い場合もあります。
札所(霊場)巡りであれば、1番となっている寺院で最初に御朱印をいただけば「発願」印を押してもらえますし、最後となっている寺院で最後に御朱印をいただけば「結願」印を押してもらえます。
鎌倉市内の寺院で関係する札所(霊場)は下記のものがあります。
- 鎌倉江ノ島七福神:発願印・結願印は無いけど専用御朱印帳がおすすめ(色紙タイプもあり)
- 鎌倉十三仏:専用御朱印帳で無くてもいただけるが、出来れば専用御朱印帳がおすすめ
- 鎌倉二十四地蔵尊:専用御朱印帳は無いが、出来れば1冊でいただくのがおすすめ
- 鎌倉三十三観音:専用御朱印帳は無いが、出来れば1冊でいただくのがおすすめ
- 円覚寺百観音霊場:専用納経帳(御朱印帳)のみの対応してもらえる
- 坂東三十三観音:専用御朱印帳もあるが、専用でなくてもいただける
- 弘法大師相模二十一ヶ所霊場:専用御朱印帳は無いが、出来れば1冊でいただくのがおすすめ
- 東国花の寺百ヶ寺:御朱印帳にもいただける寺院もあるが、基本的には専用用紙でいただく
- 東国八十八ヶ所霊場:専用御朱印帳もあるが、専用でなくてもいただける
納経代(御朱印代)の準備
御朱印をいただく場合、納経代という料金を支払います。
たまに見開き御朱印1000円、限定御朱印1000円という場合もありますが、御朱印1枚につき300円から500円が相場です。
例えば300円の御朱印で1000円を出すと700円のお釣りはいただけますが、出来るだけ手間をかけないようにちょうど良い金額を事前に用意しておきましょう。
なお「納経代はお気持ちで」と言われる寺院もありますので、その時は相場の300~500円で構いませんがもちろん気持ちとして1000円でも1万円でも構いません。
御朱印の場合の納経代は、熨斗袋等に入れずに手渡しでも大丈夫です。
出来れば神社用と御朱印帳はわける
御朱印を集めている方だと神社・寺院問わずに集めている方も多いと思います。
だから1冊の御朱印帳に神社・寺院問わずに書いてもらっている人もいますが、出来れば神社用と寺院用で分けた方が無難です。
中には寺院用の御朱印帳には御朱印を書いてくれない神社もあれば、逆に神社用の御朱印帳には御朱印を書いてくれない寺院もあります。
出来れば別々にして書いてもらうことをおすすめします。
御首題は日蓮宗の寺院のみ
日蓮宗もしくは日蓮を開祖とする宗派の場合、御朱印と似た御首題というものがあります。
日蓮宗の寺院だと御朱印は無いけど御首題はあるということもあります。
御首題は基本的に中央に「南無妙法蓮華経」の題目が書かれて、寺院によっては左右に法華経中の文言や寺院の縁起に関する文言が書かれます。
この御首題ですが、一般的な御朱印帳には書いてもらえない場合も多々あります。
他の寺院の御朱印と一緒に書いてもらえないため、御首題を集めるのであれば、御首題専用の御首題帳を用意しましょう。
一般的な御朱印帳で良いのですが、書いてもらうのは御首題のみとしてください。
なお一部の日蓮宗寺院で「御首題」では通じないことがあります。その場合は「御題目」と伝えてください。
寺院で御朱印・御首題をいただく時の作法・マナー
実際に寺院に訪れて御朱印や御首題をいただく時の作法やマナー、注意点を紹介します。
御朱印は参拝を終えてからいただく
御朱印が欲しいから一目散に御朱印をいただきに行く人もいますが、これは作法として大きな間違いです。
あくまでも参拝をした上で、参拝をした証でありご縁が結ばれたものなので、参拝をする前に御朱印をいただくということは絶対にしないようにしましょう。
ただし、秘仏(一般公開していない仏像)に対しての御朱印を出している寺院は数多くあります。この場合は本堂・本堂前での参拝をしていれば問題ありません。
ただし大きな寺院で拝観料を支払うようなところの場合、拝観料を支払った後に御朱印帳を預けて、参拝して戻ってきた時に記帳してもらった御朱印帳をいただくという場合もありますので、先に御朱印帳を預けられるのか確認する分には問題ありません。
御朱印は寺務所・庫裡・朱印所でいただく
御朱印をいただく場所は寺院で異なります。
一般的には寺務所・庫裡と呼ばれる寺院の事務所でいただきますが、寺院によっては朱印所(御守や御札を販売しているところ)だったり祈祷受付所という場合もあります。
もしどこでいただけば良いかわからない時は、御守や御札を販売しているところで聞きましょう。
小さな寺院では住職さん1人で運営をしている場合もあり、出張式典(法事)で不在のこともよくあります。
事前に在寺から確認してから行くのがおすすめです。
御朱印帳を渡す時の作法・マナー
御朱印を書いていただくことになったら御朱印を書いていただきたいページを開いて、渡すようにしましょう。
また見開きで左右とも白紙の場合は右か左、どちらに書いて欲しいのかも告げるようにしてください。
人によっては右側にしか御朱印は記帳してもらわないという人もいるので寺院側も気を使って聞いてくださることもあるので、事前にどこに書いて欲しいのか伝えることも大切です。
そして「お願いします」と言って一礼をしましょう。
それと御朱印帳にビニールカバーがついている場合、ビニールカバーがあると書き辛いことがあるので、出来ればビニールカバーはとってから渡すのが良いでしょう。
ビニールのカバーの内側に書置きタイプの御朱印を挟んでいる場合も、御朱印を取り出してから渡して下さい。
寺院によっては、何種類かの御朱印があります。どの御朱印が欲しいのかも必ず伝えて下さい。
また例えば「鎌倉の三十三観音の御朱印をください」と伝えると注意される場合があります。意味がわからないと思います。
これは「三十三観音様の御朱印をください」と「様」をつけるようにということです。
ただし弘法大師の「大師」はすでに尊称なので、様をつけることはしません。
御朱印帳を渡した後は静かに待つこと
混雑している時は御朱印を記帳してもらうまで30分とか待つこともあります。
祈祷が入っていると30分から1時間待つ場合もあります。
通常は5~10分くらいで記帳してもらえますが、待っている間は静かに待つようにしてください。
間違っても遅いと文句を言うようなことはしないようにしましょう。
遅いという文句を言われるくらいなら書かない方が良いということで御朱印を書くのをやめてしまったところもあります。
あなたのせいで御朱印が2度ともらえなくなるなんて、悲しいと思いませんか?
また寺院によっては御朱印を預けて後日引き取りにきて下さいというところもあります(鎌倉市内では基本的にありません)。
御朱印を受け取る時に納経代をお渡しする
御朱印を受け取る時に納経代をお渡しします。
金額は聞いても構いません。先に書いた通り「お気持ちで」と言われる場合もあります。
そして御朱印帳を受け取り「ありがとうございました」と伝えましょう。
なお本来ならここで寺院の方から「ご苦労さまでした」という声をかけるのが普通ですが、何も言わずに無言の寺院もあります。
そういう寺院で祈祷をお願いすると後悔することになりますので、無言で渡してくるような寺院にはもう訪れないようにしましょう。
基本1回につき1つ・もしくは1冊につき1つの御朱印
寺院によっては数種類の御朱印があるところがあります。
1冊の御朱印帳にすべて書いていただける寺院もありますが、中には1回の参拝で1つの御朱印のみ、1冊の御朱印帳につき1つの御朱印のみと定めている寺院もあります。
例えば1回の参拝で1つの御朱印しかいただけない寺院としては、鎌倉では寿福寺が有名です。
1冊の御朱印帳につき、1つの御朱印しかいただけない寺院としては、鎌倉では浄智寺が有名です。
管理人は、御朱印帳を札所(霊場)巡りで分けているので、注意されたことは無いのですが、他の寺院でも1冊の御朱印帳で複数の御朱印をいただこうとして注意を受けたという話は聞いたことがあります。
マイナーな御朱印をいただく時はきちんと説明を
寺院によっては数種類の御朱印がありますが、中には非常にマイナーで数ヶ月に1度くらいしか書いてくださいと言われない御朱印もあります。
そのため、寺院でバイトで来ている書き手さんだと把握していないことがよくあり、「その御朱印はありません」と言われることもあります。
実際、管理人は「弘法大師 相模二十一ヶ所霊場」の御朱印を杉本寺でいただこうとした時「そういう御朱印はありません、どこか他のところと勘違いしていませんか?」と言われました。
他にもいくつかの寺院で同じような経験があります。
だからあまり有名では無い御朱印をいただきたい場合は、理解してもらえるまで、丁寧に説明することが大切です。
例えば当サイトの御朱印の画像を見せて確認してもらうという方法もあります。実物を見せるのが一番間違いありませんから。
寺院の御朱印に関するQ&A
寺院で御朱印をいただく上での疑問に思うであろうことや注意点をQ&A形式で答えていきます。
電子御朱印って何?
一部の寺院を紹介するサイトで「電子御朱印」なるものを発行していますが、これは寺院とは一切関係なく、そのサイトが独自に、勝手に寺院の名前を使って行っているだけです。
通常の御朱印とは全く別のものです。
法事中でも声をかけて御朱印をいただいても良いの?
家族等で運営している寺院も数多くあります。そのような小さな寺院で法事中に御朱印をいただこうとしても良いのか?といえば、ほとんどの寺院でいただけません。
声をかけても無視されます。
一応、寺務所で声をかけて別の方がいたら書いてもらえることもありますが、対応してもらえないことがほとんどなので、法事が終わるまで待つか別の日い再訪しましょう。
日付の無い御朱印で注意されたけど
新型ウイルスの流行以降、書置きの御朱印を持っていってください、としている寺院が非常に増えています。
中には、日付を入れていない寺院もあります。
札所巡りで日付が入っていない御朱印を御朱印帳に貼って、次の寺院に訪れたら日付が無いことで注意を受ける場合もあります。実際に管理人も受けました。
日付が無いものは基本的に自分で書き入れをしますが、筆ペン等が置かれていない寺院だと書き入れることも出来ませんよね。
だから、注意されたら書き入れてもらえなかったこと、筆ペンも置いてなかったことを説明すれば理解してもらえます。
むしろ日付すら入れない寺院に怒っている住職さんもいたくらいです。
寺院によって御朱印に対する思い入れ・考え方はかなり異なります。
御朱印はスタンプラリーじゃないの?
最近では御朱印を集めることでプレゼント企画をしている有名な寺社も現われて、まるでスタンプラリーのようになってきている御朱印です。
以前は管理人も御朱印はスタンプラリーでは無いと考えていましたが、寺院によってはただのスタンプラリー、商売と考えているところもあり、スタンプラリーでは無い!と明確に否定するのが難しい状況になっています。
書置きの御朱印をお金を入れて自由に持っていけるようにして、プレゼント企画をしたら、スタンプラリーでしょ?と言われても否定出来ないと思います。
ただ何のために御朱印を集めるのか?と自分自身で考えれば良いと今では考えています。
いくら形式を整えていても信仰心なく集めているのであれば、それはただのスタンプラリーですし、信仰心があって集めているのであれば、スタンプラリーのようにいただいていても参拝の証でありご縁が出来るものという考え方もあると思います。
以上、寺院の御朱印・御首題といただく時の作法・マナーについてでした。
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