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巨福呂坂切通の実際の場所と巨福呂坂洞門

巨福呂坂洞門 切通訪問レポート
巨福呂坂洞門

鎌倉七口の1つにもなっている巨福呂坂切通、ガイドマップ等で紹介されているところは、ロックシェード(トンネルに近いもの・巨福呂坂洞門と呼ばれている)が紹介されていますが、切通らしさは全くありません。

鎌倉市内の多くの切通を見た限りでは、巨福呂坂がもっとも切通らしさが無い道ですが、実際の巨福呂坂切通はどういうルートだったのか紹介します。

2つある巨福呂坂切通

Google Mapで巨福呂坂切通を見ると2つ表示されています。

わかりやすいように2つの巨福呂坂切通をルートで結んでみました。

巨福呂坂切通と巨福呂坂切通しとありますが、本来のルートは下の「巨福呂坂切通し」だったとされていますが、ロックシェードの部分が恐らくもっともダイナミックな切通になっていたと思われます。

つまり実際の切通の場所は下記のようになっていたはずです。

実際の巨福呂坂切通の場所

地図画像の下に有風亭とありますが、このあたりから切通が始まり、道を上っていき、青梅聖天社の横を通り、ロックシェード(巨福呂坂洞門)を通っていくルートです。

点線部分は個人所有地につき、現在は通行出来ません。赤線がロックシェード(巨福呂坂洞門)です。

横浜鎌倉線は、近年になってから整備された道です。

巨福呂坂洞門とはロックシェードのこと

巨福呂坂には巨福呂坂洞門があると聞いて、どういう洞門なのか気になる方もいるかど思います。

釈迦堂切通の洞門等、トンネルの入口のようなものを想像する方も多いと思います。

釈迦堂切通

釈迦堂切通の洞門

残念ながら巨福呂坂洞門はただのロックシェード(トンネルに似たもの)です。実際には下記の写真のものです。

巨福呂坂洞門

巨福呂坂洞門

ロックシェード(ロックシェッドとも言う)は、日本語では覆道(ふくどう)とも言い、雪崩や落石、土砂崩れから道路や線路を守るために作られた、トンネルに類似の形状の防護用の建造物のことです。

巨福呂坂洞門

トンネルと言い切れないのは、天井が開いているからです。だから雨の日は普通に道が濡れますし、雪の時は雪が降り注ぎます。

巨福呂坂

ただ遠方から見ると左右に山があり、山を切り開いて道が作られているのはわかります。

おそらくここが元々、巨福呂坂切通でもっとも切り立った切通になっていたところだと思われます。

実際の巨福呂坂切通のあった道を歩く

鶴岡八幡宮の車祓い所の前あたりから、本来の巨福呂坂切通があったとされています。

鶴岡八幡宮の車お祓い所

車祓い所から切通の方角を見たのが下記の写真です。

巨福呂坂切通

普通になだらかな坂道の住宅街にしか見えません。

巨福呂坂切通

ただ少し進んで左側前方の上を見ると崖があって、山を削って作られた場所ということはわかります。

巨福呂坂切通

崩落の危険性があるため、コンクリートで塗り固められているところが多くなっていることからも、切通があったんだろうな…と推測出来ます。

巨福呂坂切通

しばらく歩いていくと、正面にはトンネルのようなところ、右側には道が続いています。

このトンネルは「巨福呂坂送水管路ずい道(横須賀海軍水道みち跡)」というもので、日露戦争当時に作られた送水線の名残です。現在は横須賀市水道局が管理しています。

巨福呂坂送水管路ずい道(横須賀海軍水道みち跡)

巨福呂坂送水管路ずい道(横須賀海軍水道みち跡)は、こちらがわよりも、巨福呂坂洞門の北鎌倉側から見た方がわかりやすいです。

巨福呂坂切通

トンネル側ではなく右側の坂を上っていくと左側に鳥居が見えてきます。

青梅聖天社です。

いつ作られた神社かはわかりませんが、一説には1200年前後の可能性もあるということで、切通を通る人を見守っていた神社かもしれません。

巨福呂坂切通の庚申塔

青梅聖天社の鳥居を超えて少し進むと左側に石碑・石塔が並んでいるところがあります。

庚申塔や道祖神碑といった民間宗教で祀られていたものです。

これらの民間宗教は江戸時代になってから盛んに行われるようになったものなので、鎌倉時代のものではありませんが、江戸時代にここが切通として人が通っていたことが伺えるものと言えます。

巨福呂坂切通

もう少し進むと私有地になり立入禁止となるため、ここで巨福呂坂切通は終了です。

巨福呂坂切通

引き返して巨福呂坂洞門の前に移動して洞門の手前を見ると民家の入口がありますが、岩肌が見えて、切通があったのかな?と思わせる風貌にはなっています。

巨福呂坂切通を歩いてみて

巨福呂坂洞門

鶴岡八幡宮方面から北鎌倉に向かうのにこの巨福呂坂洞門は、もう何度も通っていますが、切通らしさは感じられたことは、正直ありません。

切通らしい切通を見たい!という方にはもっともおすすめ出来ないのが巨福呂坂切通だとも思っています。

ただ巨福呂坂切通は切通を見るためにあるのではなく、鎌倉の歴史を感じる場所としてあるのかな?と思っています。

ここを新田義貞は攻め込もうとしたけど、無理だったんだな~とか。

ということで、切通を見たいのならおすすめはしませんが、歴史ある道を通ってみたいという方には良いのではないでしょうか?

以上、巨福呂坂切通の実際の場所と巨福呂坂洞門についてでした。

  • おおよその住所:〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-7 付近
  • 管理団体:部分的に鎌倉市
  • TEL:0467-61-3857(鎌倉市文化財課)
  • 見学可能時間:24時間
  • 見学料(入場料):なし

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